英語学習の始まり⑥「発音の勉強って必要?」
ここまで、英語学習はまず文法と語彙から始めよとお伝えしてきましたが、それ以外にもう一つ学習初期において取り組まなければならない分野があります。それは「発音」です。英語の一つ一つの音を正確に発音できるようになることは、伝わるスピーキングを身につけるためにも勿論必要なのですが、それ以上にリスニング力の基礎を築く上で欠かせないものだと実感しています。ですのでタイトルへの答えは「YES」です。
では発音ってどうやって勉強するのか。私は「英語耳」というテキストで、英語の基本的な音の出し方を学びました。それまで似たような音だと思っていたhat, hut, hotに明確な違いがあること、そしてその違いを自らの口で実践してみること。こうした学習を「英語耳」では積み重ねていくのですが、日本語しか知らなかった自分の身体が、それ以外の言語へと拡張されていくような、ちょっとワクワクするような勉強ができる一冊です。このテキストの内容を身につければ、英文を読む時に正しい発音で読めるようになりますし、正しい発音で読めれば、英文を聞く時に一音一音を明確に聞き分けられるようになります。テキストの帯にある「発音できない音は聞き取れない」は真実です。
くわえて、見知らぬ単語に出くわした時、辞書に書かれている発音記号を一瞥するだけでその単語がどのような音なのか、脳内ですぐに再現できるようにもなります。この能力は英語学習から10年以上が経った今でも非常に役に立っています。長く、確実な効果を生む実践的一冊です。
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ここであるツイートをご紹介。
音読は、私の英語能力に革命を起こし通訳者まで押し上げてくれた。「英語脳」を獲得すると英語処理が加速、L・Rが一気に伸びる。英語脳は「知識を自動化」することにより作られる。英語の根幹を成すのは文法・単語・発音。音読で三つの知識を自動化。騙されたと思って毎日30分。英語人生、絶対に変わり…
— みち@日英通訳者 (@michi_eigo) 2024年5月28日
英語学習の次のステップとして重要になってくるのは「音読」なのですが、私個人の実感としてもこの音読の効果を確実なものにしてくれたのは、「文法」「語彙」「発音」の3つの勉強でした。この3つをするかしないかで、その後の英語学習の飛躍の仕方がまるで違ってきます。「文法」「語彙」「発音」の勉強方法については「英語学習の始まり①~⑥」で書いてきましたので、英語学習を始めたいけど何から始めたらよいか分からない方はぜひ参考にしてください。
英語学習の始まり⑤「語彙力を上げるには?」
以前、英語学習は文法と語彙から始めるべきとお伝えしました。そのうち文法について前回・前々回と書いてきたわけですが、今回は語彙について書きたいと思います。
文法学習と同様、語彙についても私が参考にしたのは、森沢洋介さんの「英語上達完全マップ」で提唱されている「語彙増強=ボキャビル」トレーニング法でした。使う単語集は英語学習界隈では超有名な「DUO 3.0」です。
「DUO 3.0」は森沢さんも書かれている通り、「一つの例文の中に複数の単語を散りばめているので、単語を覚える時間と労力を著しく軽減してくれ」る画期的な英単語集です。こちらの単語集をまず複数のパーツに分割します。そして単語を覚えるまでパーツごとにサイクルを回し、最後にテキスト全体をおさらいします。
パーツの中の一例文ごとに取り組んでいくわけですが、その際に重要なのは、単語と例文を照らし合わせて意味を丸暗記することではなく、例文の構造を正確に把握した上でその中で各単語がどのような役割を果たしているか理解すること。例文を読みながら、正確に各単語のイメージを頭の中に思い浮かべます。そして単語を見ただけでイメージがぱっと浮かぶようになるまで、各パーツのサイクルを回していきます。このやり方だと、単語をただただ丸暗記する皆さんもご存じのあの苦行よりも、単語を効率的にかつ正確に記憶に定着させることができます。
「DUO 3.0」の英単語をマスターした後は、英語学習者向け英字新聞「週刊ST(現The Japan Times Alpha)」の記事もかなり楽に読めるようになりました。ぜひこの単語集とトレーニング法をすきま時間にお試しください。
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英語学習の始まり④「文法力向上アプローチその2」
英語学習の初期に、文法力を身につけるために2つのアプローチをに進めましたが、そのうちの1つ目「文法の基礎知識を学ぶ」を前回お伝えしました。
2つ目は「文法問題への反射力を鍛える」です。文法の基礎を学んだ後は、その内容を素早く適切な引出しから取り出せるようにするということです。英文を読むにせよ聞くにせよ、今目(耳)にしている部分はどういう文章構造になっているか、瞬時に理解できないと、リーディング・リスニングのスピードは上がっていきません。
ではどのようにそうした反射力を鍛えるのか。そこで参考にしたのが、「瞬間英作文トレーニング」等で有名な森沢洋介さんが考案した「英語上達完全マップ」でした。こちらのサイトでは、様々な英語トレーニング法が紹介されているのですが、今回ご紹介するのはその中の「文法」の項目です。ここで提唱されているのは、文法問題集を使って短文暗唱をする、というものです。例えば、穴あき問題をやってみて、分からなければすぐに解答を見る。解説を読んで文法ポイントを理解したら、そのポイントを頭に入れながら問題文を複数回音読したのち、1、2回暗唱する。このプロセスを全ての問題で繰り返していきます。問題集を一周したらそこで終わりではなく、内容を刷り込むために複数回サイクルを回します。
使用する問題集として森沢さんはレベルに応じて3ステージ紹介しているのですが(高校受験レベル、大学受験レベル、TOEIC受検レベル)、私は少し負荷の高いトレーニングをしたいと思っていたので、第2ステージの大学受験レベルの問題集を一冊買い、その問題集を3サイクル回しました。サイクルを回すごとに、文法問題への瞬発力が上がるのを感じましたし、英語の文章を読んでいる時に勘ではなく確信で文法を理解している感覚を持てるようになりました。ちなみにこのとき鍛えた文法問題への瞬発力のおかげで、その後TOEICのパート5(穴あき問題)で苦労することはほとんどありませんでした。
森沢さんが考案した「英語上達完全マップ」は書籍にもなっています。ウェブサイトを読んでご興味を持った方は書籍もぜひ手に取ってみてください。
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英語学習の始まり③「文法力向上アプローチその1」
英語学習を始めて、語学上達には語彙と文法が必要だと気づいた私。ではまず文法力はどのように身につけたかと言うと、2つのアプローチを順番に進めました。
まず1つ目は、文法書を読んで文法の基本知識を学ぶ、ということです。何の面白みもありませんが、確実なアプローチです。自分は高校まで英語を学んでいたのだから、大学受験レベルの文法書で良いかと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、ここで大事なのは中学1年生レベルの基礎の基礎から始めることです。大学受験レベルから勉強し始めると、過去分詞って何だったかなといった細かな疑問点が出てきて、大体後戻りをする羽目になります。基礎のレベル1から積み上げていけば、時間の無駄もなく理解もスムーズです。
まず文法の基礎の基礎を学ぶのに私が用いたのは「総合英語 Forest」でした。今は「総合英語 Evergreen」になっているのですね。図なども活用しつつ、基礎的な文法事項がものすごく平易な言葉で説明されていて非常におすすめです。分厚いですが、一通り読み終えれば英文法の基礎はしっかりと出来上がります。
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その次におすすめなのは「山口俊治英文法講義の実況中継」です。基礎を一通り終えてもいくつかの文法事項に関しては疑問が残るかと思うのですが、そうした疑問をほぼ全て解消してくれる最強英文法参考書がこちらです。私は上下巻共に3回ずつ読んだのですが、その後大学受験用の英語問題集で文法問題を解いてみると、分からない問題はほぼなくなっていました。英文法を自らの血肉にするレベルまで、英文法の理解を浸透させてくれるです。ぜひご一読、いや何度でも読んでください。
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今回は文法力をつけるためのアプローチの1つ目をお伝えしました。2つ目は次回。
英語学習の始まり②「まず何から手をつける?」
※「英語学習の始まり①」の続きです。
2009年のある日突然、それまで定期購読していた英字新聞「週刊ST」を手に取った私。それまではパラパラ読むだけで、最初からじっくり内容を見たのはその日が初めてでした。
表紙の次のページには、表紙を飾るハリウッドスターの簡単な経歴が英語で書かれています。その更に次のページには、話題のニュースを簡単な英語でまとめた記事が二つ。最初はこの二つのページから始めてみようと思いました。英語学習者向けの英字新聞なので、難しめの単語には和訳がついていますし、一見読みやすそう。ですが、読めない。次の日は先週号の同じページを読んでみましたが、それでもなんだか読めない。内容の問題ではないとしたら、何が引っかかって読めないのか。先々週号も読んでみたところでまず気づいたのは、文章の構造が取れていないということでした。ようは文法が分かっていない。その次に気づいたのは、和訳がついている単語以外でもよく分からない単語があるということ。ここで自分に足りないのは文法と語彙だと自覚します。
その後私は文法と語彙の勉強を始めるのですが、これから語学学習を始めるみなさんにもまずこの二つ、文法と語彙から始めることをおすすめします。NHKのラジオ英会話で耳を鍛えるにせよ、英語の簡単な本で読解力を上げるにせよ、まずこの二つの基礎が固まっていないことにはどこにも進めません。次回から、私がどのようにこの二つを勉強したのかをお伝えしたいと思います。
英語学習の始まり①「きっかけは何?」
英語学習を始めたのは2009年、週に一回大学のカウンセリングルームに通いながら、大学の授業にも出られず、他にしたいこともなく、将来への焦りを抱えていた頃でした。
そんなある日、アメリカのアカデミー賞授賞式をテレビで見ていました。壇上のスピーチに時に爆笑し特に喝采する観客の様子を見ているうちに、「同時通訳を介さずにこれが理解出来たらどれだけよいだろう」という気持ちがむくむくと湧いてきました。
ふとテレビのそばを見ると、私が高校のころから定期購読していた英語学習者向け英字新聞「週刊ST(現The Japan Times Alpha)」が置かれていました。高校で英語系の学科に通いだして、英字新聞を読んでみようと思い立った時から定期購読していたのですが、その後高校を中退し、英語への熱も冷めてからは、たまにパラパラとめくって眺めるだけでした。テレビから流れる授賞式の様子を耳で聞きながら、その「週刊ST」最新号をしばらく眺めていました。そして衝動的にその最新号を手に取り、一ページ目から読み出しました。それが私の英語学習の始まりでした。